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サイバーコネクトツーの松山氏がクラウドゲーミングサービスの実情について答える



サイバーコネクトツーの松山氏がクラウドゲーミングサービスの実情について答えていて、どんな取り組みをしていくつもりなのか、そして、今後の展望はあるのかというのを伺っているようですね。



――GeForce NOW Powered by SoftBankでいくつかのタイトルをプレイしていただきましたが、いかがでしたか?

松山 いやあ、もうとても快適ですね! もちろん、遅延の計測値を取って……みたいな厳密なことを言い出したらキリがないのですが、世の中の大半のユーザーさんにとっては気にならないレベルだと思います。何の心配もなく快適に遊べるサービスになっていると思います。

――GeForce NOW Powered by SoftBankのようなクラウドゲーミングサービスだと、PCやスマホにあとはインターネット回線さえあれば、どこでも遊べるというのが強みですが、そこの魅力はいかがですか?

松山 その利便性は強いですよね。ご存じのように、韓国や中国ではPC房という、いわゆるネットカフェみたいなお店が街中にあって、ゲームユーザーはみんなアカウントを持ち歩いていて、ちょっとした暇があればPC房へ寄ってPCゲームを遊んだりしているようです。PCゲームで遊ぶことがすごく気楽なんです。

 それに比べると日本は、家庭用ゲーム機が中心にあって、スマホのゲームはそれとはまた違った領域になっている。PCゲームというのは、“一番ハードルが高いもの”になってしまっているんですね。高価なゲーミングPCを持っていないと遊べないし、さらに言えばPCは知識がないと扱い切れないといった怖さもあると思うんです。もちろん触っていって、知識がつけばぜんぜん問題なくなるのですが、誰もがそれを克服していけるというわけでもないですから。

 でも、そういうわずらわしさもクラウドゲーミングサービスなら解消されるわけですよね。プレイに対する敷居が下がって、日本でもPCゲームを遊べる人が増えるのは、とてもいいことだと思います。


――日本でも、少しずつPCゲームを遊ぶ人は増えてきているように思うのですが。

松山 どうかなあ。もちろん、ここ4~5年ぐらいで多少はPCゲームを遊んでくれる人が増えたかなとは思います。でも、世界レベルで見ると正直、日本は比較にならないぐらい少ないです。いまって、そもそもPCそのものを持っていない人も増えていますしね。ほんの10年前くらいなら家にPCがあるのがふつうだったのですが、いまはスマホがあれば事足りる時代になっていますよね。高価なPCゲーミングを買ってハイクオリティーなPCゲームを遊ぶというのは、日本だとまだまだマニア的嗜好だと思います。大多数な人たちは、カジュアルなゲームの楽しみかたをしているので、そういった人たちにクラウドゲーミングサービスでPCゲームに触れてほしいですね。実際のところ、韓国のPC房で遊んでいる人たちって、すごくカジュアルにPCゲームを楽しんでいるんです。そんな感じで、クラウドゲーミングが、気軽にPCゲームを楽しむきっかけになってくれたらいいなと思います。その結果、ゲームプレイ人口そのものが増えてくれるのは、我々からしても歓迎すべきです。

――GeForce NOW Powered by SoftBankはスマートフォンにも対応しているので、スマホしかもっていないという人がPCゲームに触れていく入り口としていいかもしれません。クラウドゲーミングサービスでPCゲームに初めて触れていくというのは、僕らの世代では考えられなかったことで、まさに“新世代”だなと思ったりもするんですけども。

松山 たしかに。でも、ぜんぜんありだと思います。あと、インストールするという行為も、けっこうわずらわしいですからね。空き容量が気になってしまったりして。クラウドゲーミングサービスならそこも気にしなくていいというのはありますね。

――たしかに、クラウドならサービス提供側が全部やってくれますね。

松山 売れるモノの鉄則だと思うのですが、みんなが“わずらわしい”と感じているものはいずれ解消されるんですよ。便利で役に立つモノをみんな求めているわけで、クラウドゲーミングサービスというのは、これまであった不便さを解決するひとつの発明でもあると思うんです。

――なるほど。容量を気にしたり、アップデート作業とかからの解放と言えますね。

松山 そうです。何かプレイしてみようと思ってインストールしようとしたら、容量が足りませんとなって、渋々いくつかアプリを消してみたりして……。極端な話、スマホのアプリだと、そこで「では、もういいや」と、遊ぶのをやめる人もいますよね。いわゆるスマホアプリの離脱率だと、アプリを入手したもののインストールするまでで触るのを辞めている人が一番多いという、恐ろしい結果が出ているんです。作り手からしたら、「始めてもくれてもいないのか!」ということになりますけど(笑)。一番ハードルが高いところがそこなんですよね。

クラウドゲーミング時代でも、モノ作りの根本を大事に考える†
――クラウドゲーミングサービスそのものについてはどのように感じていますか?


松山 それは最近よく聞かれる質問なのですが、正直に言うと我々にとっては「ありがとうございます!」の一言に尽きるんですよ。

――ありがとうございます、ですか?

松山 そうです。実際のところ、ゲームの売り場が増えて嫌がるゲームクリエイターがいるわけないんですよ! ゲームを遊ぶ入り口が増えるということは、それによって遊んでくれるユーザーさんが増える可能性が広がるというわけで、よいことしかないに決まっています。プラットフォームどうしの競争がどうとか、そんなことを心配しているクリエイターなんていないですよ。そんなわけで我々にとっては「よい未来しかないじゃん!」って感じです。

――何とも松山さんらしい言葉ですね(笑)。クラウドを意識したゲーム作りという点についてはいかがでしょう? たとえばシューティングや音ゲーなど、ジャンルによって遅延の影響がシビアになるものがありますが、ゲームクリエイターとしてはゲームを考えるときにそこを意識されるのでしょうか。

松山 うーん、たしかにジャンルによってはそうかもしれませんね。遅延の話題は格闘ゲームとかでもよく言われることですが、お互いにクラウド環境で楽しむくらいの対戦だったら、それはそれとして遊べると思います。一方で、やはりシューティングなどをひとりで遊び込むときとかに影響が出るのかなとは思いますね。

――通信対戦のレイテンシーやレスポンスを意識して、たとえばアクションゲームのモーションや発生フレームをちょっとゆったり目の数値にするみたいな意識をされたことは、これまであったのでしょうか?

松山 それはあります。有名なところだと、『鉄拳』シリーズなんかもそういうお話をされていますよね(※)。我々もいままで対戦アクションを作ってきていますが、そこを意識したことがあります。でも、これから先は5Gの時代にもなっていくわけで、そういうところもあまり意識しなくてもいい時代になるのかなと思います。通信周りの不便は、どんどん減っていくのではないでしょうか。

※バンダイナムコスタジオ公式サイトにて掲載している『鉄拳7』開発エピソード前編/後編にて、オンライン対戦のラグを考慮してモーションのフレーム練り直しや、技の発生に対する考え方を変えたというエピソードが語られている。

――通信インフラの進化によって、むしろこれまで工夫していたところもしなくて済むようになるかもしれないということですね?

松山 そう思います。

――クラウドゲーミングに適したゲームを作りたいですか?

松山 正直なところ、気にしていないです。我々は、作ったゲームやIPをひとつでも多くの売り場に置いてもらうというのが一番重要だと考えています。大きく膨れあがってしまった昨今のゲーム開発の規模からすると、スーパーマルチでワールドワイドというのが必須で、ひとりでも多くの人に届けないとビジネスにならないです。ここ10年でゲーム業界はビッグビジネスになってしまっているんです。

 もちろん、「クラウドゲーミングにも提供するからここは考えておかないと」ということは開発中にあるかとは思いますが、クラウドゲーミングのためだけにゲームを作るというのは考えていないです。我々はゲームコンテンツを作って、それを可能な限り多くの売り場に置いてもらうという、その順番です。


――最適化するという工程などでクラウドだからという点を意識することはあるかもしれないけれど、まずゲームありきであるという考えは揺るがないということですか?

松山 そうですね。現状でいうと、そこを気にして“ゲームを自分たちが意図しないカタチにする”、つまり悪い言いかたをすると、“劣化させる”くらいだったら、ちゃんとそこをよい形のままで提供できるようになってから対応する、という優先順位ですね。

 我々がやっているのは言うなれば人気商売なので、モノを薄くしてしまうと元も子もないんです。とくにうちなんかは“超アニメ再現”や“マンガ表現”を作っているので、それがまともに体感できないようなゲーム性にするわけにはいかないですよね。


――モノ作りの大事なところを変えないことが一番というわけですね。ちなみに、GeForce NOW Powered by SoftBank以外にもクラウドゲーミングサービスはいろいろと出てきていますが、それについてはどのように感じられていますか?

松山 何でもそうですが、群雄割拠はあって然るべきだと思っています。プラットフォーマーもそうですし、ソフトウェアメーカーもそうですよね。ライバルがいて仲間もいて、競争関係にあるからこそ盛り上がる。うちだと、同じ福岡なのでレベルファイブとは仲よくさせてもらっていますが、日野さんとはいつも「うちらは仲間だけどライバルだよね」と言っています。ちなみに東京の会社さんとは、「うちらはライバルだけど仲間だよね」と、逆の言い回しをしていて、そこは福岡と東京の違いかもしれないですけども。いずれにせよ、そういう競争があるからいいと思うんです。

――競争と移り変わりがあってこそということなのですね?

松山 そうです。ハードの移り変わりなんてまさにそうですよね。誰にも読めない。

――そういう歴史を考えれば考えるほど、いろいろな売り場にゲームを置いてもらうべきだという考えになるわけですね?

松山 そうなんです! でも、そういう競争があっていろいろなことが起きるからゲーム業界っておもしろいんですよね。クラウドゲーミングサービスも競争して、より進化していったらいいんじゃないかな。


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松山氏が現場サイドからの声として積極的に発言されていますね。クラウドゲーミングは制作する立場にとってはメリットでしかないとしており、5Gが整備されて通信インフラが整えば時代は変わるかというものですね。

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